STILL STILL STILL
いつか終わるなら、始まらないで欲しい。と、B’zのLIVE-GYMに行くたびに思う。いつも開演前にすごく落ち込んで、同行者のひとをギョッとさせることに関して(最近は慣れてきたようだ)は、ある意味天才的な才能を持ってると思う。みんなが「始まるかな」「なんの曲やるかな」ってワクワクしてる最中だから、尚更自分のテンションの低さが目に余る。
どれだけ楽しくても、どれだけ幸せな気持ちになっても、B’zを聴くたびに思い出す悔しさや憎しみの気持ちはぜったい忘れないようにしたいと思ってる。今までも、きっとこれからも、わたしを突き動かしていく原動力。一番柔らかくて脆い気持ちについてヒビ割れが叫び出しそうになるのをどうにかいつも堪えてる。
ところで、世間一般のひとのB’zのイメージって、どんななんだろう。日本で一番売れているということになっているので、B’zを知らないってひとはなかなかいないように思える。イチブトゼンブ?今夜月の見える丘に?LOVE PHANTOM?愛のままにわがままに(長い)〜あたりはみんな知っていそうなイメージ。
今の今まで、結構B’zと関連させて想い出すことをつらつら書いてきすぎて恨み節の近いものになっていたので(思い出のトリガー)(まぁ、それだけ執着してるってことなんですけど)、よくよく考えるとB’zの良いところ、好きなところって一度もお示ししたことがなかったんじゃないかと思ったので考えてました。
カッコイイ音楽に載っている歌詞が等身大というかもはや……
って、まぁこれはよくB’zのふたりが言ってることなんですけどね。
B’zの歌詞は結構小市民的。デビュー20年以上経って、日本で一番売れてるひとが、ついこの間『ゴールはここじゃない 安住の地などない』(兵、走る)って歌ってたときには度肝を抜かれた。そうか、B’zがそういうならがんばらなきゃな、と思う。(題材は歌舞伎の切られ与三=与話情浮名横櫛から取ったということでしたが)『どんなにヨレヨレ傷だらけでも 走り続ける』(俺よカルマを生きろ)って言ってる。なら走り続けなきゃいけないかもしれない、という謎の説得力を生むわけです。
松本さんのギターは泣きのギターと呼ばれていて、時には稲葉さんの歌詞や歌声よりも切なく感情を表現していることがあります。正直わたしはチョーキングがどうとか全然わからないんだけど、泣いてるのはわかる。タイトルそのまんまだけど、GUITARは泣いているとか。ALONEもそう言われてるよね。
卑屈と言っても差し支えないのでは……
『交差点の真ん中で呆然と立ち尽くして戻りたいと思うけど繰り返しは嫌だ』(HINOTORI)みたいな歌詞も最近書かれたもの。『夜の街角を僕の知らない誰かと歩かないでもはや正気じゃいられないよ』(愛と憎しみのハジマリ)
ところでB’zの歌詞は基本的にボーカルの稲葉さんが書いています。曲は全曲松本さん。ちなみに1曲だけ稲葉さんが作詞していないのでこういう書き方になりました。
これはギャラのトラブルがないように(ちゃんときれいに二分できるよう(という松本さんの配慮という名の無茶ブリでした。B’z結成当時、松本さんは既にT.M.Nや浜田麻里さんというミュージシャンのサポートメンバーとしてプロの道を歩んでいたわけですが、稲葉さんは大学卒業後フラフラしていた(Beingの音楽学校に通っていた)(そこら辺はアルバムLOOSE収録のザ・ルーズって曲がなんとなく雰囲気わかると思います。大学生のときに就活もしないで家庭教師やってたよ〜って曲)ところで、あの松本孝弘がバンドを組むぞってなって抜擢されたのが稲葉さんです。今もそういうパワーバランスが薄ら透けて見えることもあります。昔はLIVE-GYMでそれをネタにコントやってたくらいだし。
そして、勇気をくれる。
『走れなきゃ歩けばいいんだよ道は違っても ひとりきりじゃないんだ baby,Well be alright』(Brotherhood)とか、『尊い時間は今始まる 先はまだ長いけど ゆっくりでいい さあ行きましょう C‘mon』(C’mon)とか。ここらへんは日本中が辛い時期に、ふたりが大切に歌ってくれた曲でした。
わたしあんまりロックロックしてる歌手を聴かないから正直なんとも言えないのですが、LIVEのときは稲葉さんがMCを請け負うことが多いのですが、基本、敬語です。LIVEの最後に締めは「(せーの!)お疲れー!」だし、お辞儀で退場していく。なんなら「気を付けて帰ってください」とか「寒いから気を付けて!」って言ってくれる。ドームやスタジアムを埋める何万人に対しても、丁寧な対応。
音楽の趣味はひとそれぞれなので、音楽性が受け付けないという理由以外で好きにならない要素なくない?
長く続けていられるってことは安定感があるってことだと思う。健康的と言ってもいいかもしれない。B’zのバランス感覚が、好きです。