厨房タイムトライアル
そういえば、病院の厨房で働いていたことは積極的に語った試しがなかったと思う。なぜなら珍プレー好プレーが起こることもなく、これといって積極的に語る出来事がなかったのだ。
1年間働いて、例えば奇跡の包丁さばきを身につけたとか、そういう、なにかひとつでも得たものがあれば良かったのだけど、強いていうなら『代わり映えのない毎日をぐるぐるする仕事は、案外好きじゃないみたい』っていうことがわかったくらいだった。当時22歳、本当は事務職とかがやりたかった。リーマンショックで求人は全然なかった(※高卒、資格なしはお呼びでなかった)から、極力ひとと接しなくていい仕事をと考えていたのに、まさか合わないとは思いもよらなかった。
ちなみに、病院の厨房も勤務はシフト制。
早番→5:00~14:00
中番→8:30~17:30
遅番→10:30~19:30
みたいな。正確には覚えてないけど。
早番は朝食作って、配膳。 昼食の調理、盛り付け、配膳まで。
中番(普通の日勤の時間ですね)は、まず朝食のお膳の片付けから始まり、 昼食の調理~配膳・下膳、夕食の調理と盛り付けまで。
遅番は昼食の盛り付け、夕食の調理~配、下膳、片付け、翌日の朝食の仕込みまで。
って感じ。
この通り、この職場では朝食の準備はやや人が少ない編成だったので、主食(ご飯やお粥)、汁物(味噌汁)、あっためれば食べれる既製品とか手のかからないおかず2品(例えばしらすおろしときゃらぶき、鰯の甘露煮と茄子の煮浸し、みたいな感じ)でした。
昼、夕の調理はスタッフみんなでやっているので、ソフト食って食形態のものも作ってた。 ミキサーやキザミ食だと食塊形成が難しいじゃない?だから、ある程度バラバラにならないで固まるけど、歯茎で潰せる固さのものを作る。
ハムとかソーセージを一度キザミにして、それに固める粉を入れて、成形。またハムやソーセージの形に戻したりする。付け合わせのレタスもくたくたに煮て、キザミにして固める。波形の包丁で切ると少し葉っぱっぽくなって可愛かったです。
塩分制限、脂質制限などの特別食は別メニューになることが多いので、ベテランスタッフが調理です。
常食が鯖の味噌煮だったら、その鯖を焼いて減塩醤油のミニパックをつけたり(塩分制限食)、鱈の煮付けにしたり(脂質制限食)、みたいなマイナーチェンジをする、ってイメージかな。
ご飯を炊く部署はお米洗ってお水図ってスイッチ押すだけかと思いきや、ご飯は普通の米飯、軟飯、お粥はソフト、重湯、3分、5分、7分、みたいに結構分かれてて大変。
そして配膳の時間は決まっているので、時間との勝負が毎日繰り広げられていました。
何時からベルトコンベアを動かして、お膳に盛り付ける作業の時間、みたいなのが決まってて、全員で盛り付けをします。
その時間に間に合わせるように調理を済ませ、盛り付けをして、病棟に配膳に行かなくてはいけない……!
間に合わなければ死
(※管理栄養士さんに怒られます)
そんな、シフトと食事のメニュー以外は変化のないタイムアタックをぐるぐるぐるぐる毎日繰り返していた次第です。