15.ターミナルケアとターミナルケア加算

終末期ケア専門士という資格を取得しました。

 

わたしは現在訪問看護師をしていますが、勤め先が掲げている文言は『在宅ホスピス』

 

より良い終末期を自宅で過ごしてもらえるように、支援を行っている。そんなステーションです(たぶん)

 

在宅看護ってやったことがないひとからしたら、なにをやってるんだろう?と思われることも多いかと思われます。だいたいなんでもしてます。点滴(末梢より皮下輸液のほうが多いかな。ポートから高カロリー輸液も!)も輸血も必要があればやるし、各種ルート、ドレーンの管理、吸引、酸素、人工呼吸器……、補助循環以外の機器ならだいたい取り扱うのでは?と思います。

 

恐らく元は厚労省かなんかの資料だとは思いますが、終末期ケア専門士のテキストによると、2017年の人口動態統計では自宅での死亡割合は13.2%、病院が73.0%、老人ホームが7.5%となっているとのこと。ここテストに出ますよ、模試に出てた。

 

在宅ホスピスなんてやってて自宅でのお看取りを何度も見てきた訪問看護師痛恨のミス。3割くらいはいるだろうと思いきや全然いないのね。
一方自宅で最期を迎えることを希望するひとは54.6%とのこと。現実と希望の間には大きな大きなギャップがある模様。かなしい。

 

ところで突然カネのハナシで恐縮なのですが、終末期の訪問看護には加算がつきます。
この加算はどんどん点数が上がってきている(=もらえるお金が大きくなってきている)そう。現状、国は在宅推しだもんね。納得。

 

介護保険と医療保険でターミナルケア加算、訪問看護ターミナルケア療養費1、2って取れる加算が違うんですけど、共通して書かれている文言としては、

 

・在宅で死亡した患者に対し、死亡日及び死亡日前14日以内に2回以上ケアを行っている。
・厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」などの内容を踏まえ、患者・家族等と話し合いを行い、本人の意思決定を基本に、他の関係者と連携の上対応する。

 

1つめは一旦置いておくとして、この「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」って、まぁ、要するにちゃんとACPしてね、本人中心にケアを考えてね、繰り返しみんなでけあについて話し合ってね。ってことです。当たり前といえば当たり前なのかなぁ。

 

この加算の詳しい内容、加算の算定要件について知らなかったときに、一度この加算を取り漏らしたお看取りがありました。ほぼほぼわたしがひとりで訪問して、対応をしていた利用者さん、家族だったのですが。

 

せん妄が強い、新型コロナウイルスのこともあって在宅に戻ったほうが良いのではと勧められて在宅での環境を整えられた利用者さん。
ご家族……といってもおひとりしかいなくて、このまま在宅でお看取りをするか、最期は病院に戻るか悩まれていました。契約の段階ではどうするか確認できなかったとのこと。
(契約は管理者さんが行ってくれた)
せん妄はほんの一瞬改善したものの、ありとあらゆる管を抜こうとしてご家族が24時間付きっきりの状態。利用者さんより家族のほうがどんどん顔色がヤバくなっていく事態。訪問診療の医師から、ご家族が限界を迎えないように、って鎮静開始。でも『在宅でのお看取り』についてははっきりとしたコンセンサスが得られないまま、その後すぐお亡くなりになった。って事例です。多少ボカしてますけどだいたいこんな感じ。

 

もちろん加算を取るために訪問しているわけじゃない。でも、ちゃんと身体的、精神的、社会的は……ごめんちょっと抜けてた、スピリチュアル的にアセスメントもしてたし、苦痛緩和のためのケアもしてたのにな。在宅でも病院でもどっちでも大丈夫なようにと思って(わたしは)(心の)準備してたんだけどなぁ。
在宅/病院でのお看取りする、って明確な意思決定を促すために背中を押せば良かった?まだそのタイミングじゃなさそうだと考えて、機を逃さないようにしてたつもりだったんだけどな。とはいえ、当たり前だけど意識や呼吸や血圧や尿量、毎日色んな数字や所見を看てても、じゃあいつ亡くなるからいつまでに意思決定しなくちゃいけない、なんて神様の領分でしょう。

 

だからACPって、プロセスって、大切なんだよね。と思って今ACPの本を読んでます。加算は取れたほうが良いと思います。実践が認めてもらえないと加算は取れないので。

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