12.怪談に学ぶ脳神経内科を読んでる。
怪談話、ホラーって好きです。幽霊、お化け、妖怪、UMA、宇宙人。取り敢えずわたしの前にはなかなか姿を表してくれないと思ってたけど、まさか。そんな。
脳神経内科疾患で怪談を語れてしまうなんて。
実は脳外科(と、外科と、その他なんでも)の病棟にいたくせに、あんまり脳血管疾患的なものは好きになれなかったです。脳外があんまり好きになれなかったのは90%くらいは医師が好きになれなかったからのような気がする。そして在宅に来てから、脳内の利用者さんとよく出会う。勉強しようと思ってもそもそも解剖生理がわからん。疾病の成立機序も全然わからん。結局『よくわからん』と匙を投げてしまうから、よくわからんままです。
この間、日中独居の利用者さんのところに行ったところ、『最近幻覚が見えます』『のぞみさんが来るまでそこで女の子が遊んでいました』『この間先生が来てくれたときに言ったら、あなたの病気ではよくあることですよ、って言われました』と報告してくれました。利用者さんはレビー小体病なので、お、おぅ……。そんな、アッサリ……、と思いつつ、ご本人の言ってることも先生の言ってることも、ただただ整合性しかないから『そ、そうなんですかぁ……』としか言えなかった。もし次に同じようなシチュエーションが来たら、それは座敷童子かもですよ。って言いたいなと思った。いいお家だから来てくれたんですね。って。
本の中では古い書物に書かれている怪談話にタイムスリップをして診断をつけようとしている、完全に表紙に騙されたけどハチャメチャに医学書。書いてある内容も、もうちょい勉強してから挑んだほうが良かったかもーーー!と思って読んでるけど、CTやMRIがないなかで脳梗塞と脳出血を鑑別診断しようとするところとか、面白かったです。診断基準とか読み飛ばしましたが。難しいので。
ところで冒頭で、お化けたちなかなかわたしの前に姿を表してくれないって書きましたけど、葬儀屋さんのときに1回、病院のときに1回(2回かも)なんかちょっとそれらしきものを見てます。どう考えても場所が悪い、悪すぎる。そもそもが出そうだもん。
葬儀屋さんのときのはね。式場にご葬家(ご遺族)が泊まらないってことだったので、皆さん全員が帰ったのを確認して、1階の戸締まりをしてシャッターを閉めたんです。と、思ったら1階と2階の階段の踊り場に人影。黒いズボンの男性です。うわ!びっくりした!と思ったけど、すぐに一緒に今日のお通夜をしてたスタッフだろうと思って、2階に上がってバックヤードから事務所へ……。

……誰もいなかったんです。式場に。
ってはなしを思い出しながら本を読んでたんですけど、健常成人の10~20%が幻覚を見てるんだって。